「加速は無限に重ねることができる」
             ―――『矛盾都市TOKYO』東京圏総長連合・“大将”の記動力









    男だけの旅行につき(1)









 澄み渡った青空、広大な草原、人里が近くに有るのかと疑いたくなるような、そんな場所。
 私とクロノ提tではなくてクロノとザフィーラは、そんな草原の真っ只中に立っていた。
 呼び方は「プライベートだから」という理由で殆ど無理矢理だが、呼び捨てにしろとの要請てか命令。
 いくら同姓とはいえ、年上を呼び捨てにするのは内心バクバクだったのは当然だろう。いまは何とか慣れた。
 本当はユーノ司書長も来る予定だったのだが、急な仕事によって無限書庫の局員に連れて行かれてしまった。

「今回は僕ら三人での旅行になるな、ユーノもまた苦労しているようだし・・・・・」

「まったくだ。上はユーノを働かせすぎだろう? 今回の休みも確か半年振りだったはずだ」

「そのことですが、実質的には八ヶ月ぶりの休みだったらしいですよ。前回の休みは私たちと重ならなかったのですが・・・・
 何でもその休みの日になっても予定の仕事が終わらず、追加々々の連続で休日がいつの間にか出勤になっていたらしいです」

 男三人で揃って溜息を吐く、久しぶりの男同士での旅行だったのに・・・・・あの脳みそどもめ。

「こうしていても始まらない、西に20km行くと宿のある村に着くらしいから、進もう」

 クロノの言葉に賛同の意ザフィーラと示して歩き出す、荷物は少量、所持金は隠し持つのがいつもの形。
 途中は雑談をしながら歩いていく。自分たちに関する最近の状況や事件のようなもの、どんなことがあったのか。
 暫く前にあった高町一等空尉との買物のことで少々からかわれたが、情報交換に近くて助かったのは確か。
 ハラオウン執務官が私と高町一等空尉からの贈り物を喜んでいたと知れたのは僥倖、一週間ほど上機嫌だったらしい。
 ただ、クロノが相変わらず長期任務の所為で子どもに忘れられるといっていたのには同情せざるを得ない。
 ザフィーラと二人で肩を叩きながら励ましたり、近所の犬が発情期に入ったときは自分も生きた心地がしないというザフィーラに哀れみを。
 ハラオウン執務官の使い魔であるアルフ(呼び捨てにしろと睨まれた)とは恋人同士なので、浮気したらかなりやばいらしい。

「思うんだが、僕らはそこらにいる普通の男よりもずっと辛い状況じゃないのか? 特に櫃戯、君だ」

「辛いことには同意しますが、私が一番ですか?」

 訝しげにクロノに問い返すと、答えが返ってきた。
 『管理局の三人娘』と呼ばれる八神二等海佐、高町一等空尉、ハラオウン執務官の相手をするだけでも大変である。
 その上で休日は高確率で強制的に引き摺られていき、休みといえる休みが無い。それが対外的な私の人物像らしい。
 七割以上、下手をすると八割以上当てはまるのでどうとも答えられない自分が憎い。

「ふむ、確か『管理局における最高の幸運と不幸が同居している局員トップ10』で二位以下に大差をつけてヒツギがトップだったな」

「ザフィーラ、冗談でも笑えないし、本当だったら尚笑えないから・・・・・・・マジナハナシデスカ?」

「ああ。後日主たちがその主催者を襲撃したらしいことを聞いた、生きて入るらしいがトラウマの所為で陸士部隊に志願して戦場にいるらしいぞ」

「そういえば、暫く前に五人ぐらいの時期外れの新任局員が入ってきたな、突撃していくのに怪我は大したことが無くて医務局員が首を傾げていたらしい」

 なんともいえない会話になってきた頃、人里の証というかのように明かりが見えてきた。
 旅慣れているためか大体昼頃には目的の村に着いたようだ、結構にぎわっている様子から活気はあるらしい。
 すぐさま泊まれる場所を探すと、意外と空いている店は多いようだ。
 そこそこの値段の宿を選び、続き部屋を三つ頼む。初老の女性が応対してくれたが、その対応はなかなかいい手際だった。

「今回の宿は“あたり”かもしれないな」

「部屋も値段の割りになかなかだ」

「とりあえず暫定の欄に書き込んでおきます」

 私たちの旅行の目的はいくつかある。
 そのうちの一つが『いい宿探し』、呼んで字の如く『いい宿を探して自分たちなりに纏めてみよう』というものだ。
 上中下の三つに分けたうちに更にそれぞれが三つに分かれる、九段階の評価で纏めている。
 『上』のランクにあるのは片手で数えるぐらいなので、かなり少ない。因みに総合評価。
 部屋にあるテーブルに持ってきた荷物を広げて各々が必要なものをとり、残りを部屋の隅に置く。
 置いた荷物は『盗られても問題ない』物であり、一見した場合はそこそこのお金になりそうなものだ。
 これは安全性の確認のようなものなので、結構前からずっと習慣のようにして暗黙の了解状態を維持している。

「とりあえず、街中を見て回ることにしよう」

「ああ。オレは問題ない、なかなか楽しみな気分ではあるがな」

「私も構いません。結構遠い世界ですから、どんなものがあるのか楽しみでは有りますよ」

「では六時間後に食事らしいから、五時間後までにこの部屋に戻るということで」

 そういってクロノとザフィーラとは別れ、それぞれで別行動することに。
 巡る先としてまず探したのは古書店か通常の書店、いい具合に古書店を発見。
 入ってみると結構古い書物が多いようで、値段は相場よりもずっと安いようだ。

「なんか探しとるんけ?」

 声をかけてきたのは老婦人、どうやら店主のようだ。

「古書、それもかなり古いものや誰も読めないようなものを探してます」

「物好きやんけー、奥にいくつかあったと思たけんどどうしたけなぃ?」

「あー、自分で確認してみます。ありがとうございますね」

 ちょっと不思議な喋り方をする人だが、話していてそれほど悪くはなかった。
 店内にある棚を眺めながら、時々気になったのを手にとって見たりしながら、店主の言っていた奥へ。
 他よりも多少開けた部屋に入り、中央の机の上に置かれた数冊が真っ先に目に入った。
 表紙を含めてまったくといっていいほど劣化が見当たらない、さすが存在する理不尽。

「『グ・ハーン断章』、『ソフィストの生涯』、『暗黒の大巻』の三冊がグリモワール・・・・後の二冊は、ロストロギアか」

 どうやらあたりを引いたらしい、五冊全てを手にして老婦人店主に掛け合おうと入り口へ。
 すると私を見て目を見開き、頷きながら奥のほうに引っ込んでいってしまった。
 どうするかと立ち尽くしていると、老婦人店主が黒いスーツケースを持って姿を現したため首を傾げてしまった。

「昔な、それを持ってきた人が言うとったん。それらを持ち出せる人が来とったらただで譲ったれやてな」

 そういって黒いスーツケースを差し出してくる老婦人店主。
 私はそのスーツケースを受け取って、手に持っていた五冊を中へ放り込み、ついでに棚から欲しい本を持ってくる。
 ただだと悪いと思ったので、四冊ほど購入する。老婦人店主が頭を下げたのが印象的だった。
 その後ぶらりと町をうろつき、ふと見かけた店で頼みごとをして丁度いい程度の時間になる。
 宿の部屋に戻ると、早くもザフィーラが戻ってきていた。隣の荷物はなんですか?

「戻ってきたか、ヒツギ」

「戻りました、ザフィーラ。で、その荷物はなんなんですか? あなたとタメ張る大きさのその荷物は」

「うむ。ミッドに持っていけばそこそこで売れるものの一種でな、珍しく二束三文で見つけたので買ってきた」

「後で『小さく仕舞えるんですver7.56913785』に入れてくださいね、ちょっと人目がきついでしょうから」

「わかっている。流石にこれを担いで移動するのは恥ずかしいしな」

 ザフィーラも恥ずかしかったらしい、結構な大きさだし、何よりも『人型』なのが怖い。
 下手に担いで移動すると職質されかねない形状なのだし・・・・クロノが思いっきり頭を抱える絵が脳裏を過ぎる。
 その後、戻ってきたクロノがいっそ見ているこっちが清々しくなるような流麗さで頭を抱えた、感心するなザフィーラ。
 部屋においてあった荷物は誰も触らなかったらしい、布団が三組運ばれていたが動いた形跡も触った履歴もなかった。

 夕飯はこの地域で取れる山菜や川魚中心のレシピ、値段を考えるとかなり豪勢に思えてしまう量だった。

「買物ついでに色々聞こえてきたんだが、このあたりは領主が納めているらしい。そして、最近交代したらしいんだが・・・・」

 ザフィーラと私が怪訝な顔を見合わせて、視線でクロノに先を促す。

「どうもな、その領主の周りが少々きな臭くなってきたらしい。それも、領主本人ではなく側近の方が、と聞いた」

 いく先々とは言わないが、そこそこトラブルに見舞われることが多いのはこの旅行の名物に近い。
 それをザフィーラ、クロノ、ユーノの三人が解決していくのが定例となっていた。
 私はどうかというと、基本的にどうもしない。というか、私はこの三人にとって友人ではあっても戦闘では足手まといでしかない。
 だが今回はユーノがおらず、いるのは私。代わりはできないが、穴埋めは何とかできなくもないかもしれない。(状況次第で)

「もしかしたら潰すかもしれない。櫃戯、君にも動いてもらう必要があるかもしれないが、構わないか?」

「まぁ、状況次第ではやぶさかでも有りませんね。でも、なるべくこちらから手を出さないようにしましょう、面倒ですし」

「だな」

「まったくだ」

 私の最後の一言に見事に同意して見せた二人。久しぶりの旅行なのだから、ゆっくりしたいのが本音なのだ、私たち三人は。







アトガキもどき〜よんこめ?〜

どうも、ザフィーラの一人称がよくわからず「オレ」で書いたヘタレです
これでいいのか、それとも修正が必要なのか、どっちでもいいですけどwww
ザフィの一人称は一箇所のみですから、気にする必要がないといえばないですが
とはいえ、この三人の旅行はなぜか数回続きそうな雰囲気なので数字までついてます
が、次がそのまま続くかは不明です、模擬戦なんて後編が二回とも外している状態ですし?
というわけで、気にすることなく適当にお待ちください
まぁ、お待ちいただくようなできではないですし、呼んでいる人がいるわけでもないですし?
なんか感想があるのでしたら、トップの拍手でも押してください
一応お礼ssっぽいものが三つほどループしてますけど、気にしないでくださいね?

そんなこんなで今回はこれでー


2008.06.01 10:07完成


進みませんよ?